
食品製造業向け基幹システム「Misuzu8」を開発・販売するジュピターアドバンスシステムズ株式会社。同社は約30年にわたり統合開発環境「PowerBuilder」を活用し、生産管理・販売管理・原価管理を統合した大規模基幹システムを開発・提供している。飲料、製菓・製パン、乳製品、食肉加工品、水産加工品、調味料、冷凍食品・惣菜など、食品業界各分野に導入実績を持ち、完全パッケージの販売も進む。同社がPowerBuilderを長年活用し続ける理由とその効果について、技術部・部長・三山政樹氏、同部・技術3課・課長・大野哲也氏、同部・技術3課・エキスパート・山名弘子氏に話を伺った。
ジュピターアドバンスシステムズ株式会社は、本社を兵庫県神戸市中央区に置く、食品製造業向け基幹システム「Misuzu8」を開発・販売する企業だ。社員約40名のうち20名以上がPowerBuilder技術者として開発に従事し、これまでに全国約130もの企業、工場、部門での導入実績を積み上げてきた。2020年2月3日に東証スタンダード(当時JASDAQ)上場の計装(計測・監視・制御技術)会社、日本電技株式会社の100%子会社として再出発し、それまで事業を担っていたジュピター電算機システム株式会社からすべての業務を譲り受けた。

「当社は、食品製造業に特化した生産管理や販売管理、原価管理を中核とした基幹システムを、お客様の業務に合った形にカスタマイズして導入したり、お客様と伴走しながらコンサルティングを行ったりしています。また、生産現場での実績入力用に防塵・防水仕様のPOP端末を自社で提供しており、ハードウェアとアプリケーションを一体でお客様にお届けすることで、お客様の事業により必要とされるサポート体制を整えています」と技術部部長の三山氏は話す。
同社が食品業界に踏み込んだのは30年前。「食品は景気の変動に左右されにくく、絶対になくならない業種です。そこに特化してきたことでさまざまな会社様の課題やニーズに取り組み、当社ならではの業務ノウハウを蓄積することができました。システム導入の際に、他のユーザーではどのようにしているのかといったご質問をいただくことがよくありますが、そのようなお客様にも最適なアドバイスができるだけの引き出しがあることが当社の強みだと考えています」(三山氏)
Misuzu8は生産管理、販売管理、原価管理を中核機能としながら、需給調整管理、調達計画管理、受払在庫管理、製造指図・実績管理などの機能を備えており、その特長は、物の動きと情報を一体管理するトレース機能や、FA(設備)連携による誤計量・誤投入・誤作業防止を実現するとともに、原価の予実までを一元管理できる点にある。また、Misuzu8のUIにおいてツリービューオブジェクトによる階層でのメニュー表示や、多々ある機能の中から必要な機能のみをメニューとして表示できる機能、画面サイズや画面表示色設定(ウィンドウ背景色、明細部背景色、明細部選択行カーソル色など)を任意に変更できる機能は、きめ細やかな工夫としてユーザーに好評だ。さらには、親会社である日本電技株式会社の計装技術と組み合わせることで、食品工場のスマートファクトリー化までワンストップで支援できる体制が整いつつある。
「お客様に寄り添ったサービス提供で20年以上のお付き合いになるお客様もいらっしゃいます。日配食品製造業などのお客様では、受注出荷・販売・生産の各業務で無事故・無停止の保守サービスを実施しており、当社の自慢のひとつです」(三山氏)
■Misuzu8 メニュー画面

前身のジュピター電算機システム時代を含め、同社がPowerBuilderを採用したのは約30年前にさかのぼる。導入当時の開発主力はC言語とCOBOLで、GUIツールを本格活用する文化はまだ薄かった。Visual BasicやDelphiなど複数のツールが市場で競合する中、社内でも複数の開発手段を試行した上で、最終的にPowerBuilderが残ったという。
決め手は2点ある。ひとつはデータウィンドウの存在だ。データウィンドウは、マウス操作のみでSQL文を作成できるPowerBuilder独自のオブジェクトで、接続しているデータベースからデータを取得・表示するまでSQLを記述せず、GUIで視覚的に操作できる。1つのオブジェクトでデータ取得から画面表示、帳票出力までを完結でき、グリッド、グラフ、明細など多様な表示形式に対応する。
三山氏は、「基幹業務は、データベースから扱うデータ量がかなり多い。データウィンドウは画面と帳票の両方を高い生産性で開発できる仕組みで、決定的な強みになりました」と当時を振り返る。
もうひとつはOracleとの親和性の高さだ。PowerBuilderはOracleやSQL Serverなどとのネイティブデータベースインターフェイスに加え、ODBC、JDBC、OLE DBを通じた標準的なデータベースインターフェイスも提供している。当時データベース基盤としてOracleの本格採用を進めていた同社にとって、ODBCを介さずネイティブで接続できる特性は、開発生産性と実行性能の両面で大きなメリットを持っていた。

技術部技術3課課長の大野氏は、過去に顧客都合でVisual Basicを用いた案件を経験したことで、PowerBuilderの優位性を強く実感したという。
「VB案件では画面はVisual Basic、帳票はCrystal Reportsと2つのツールを併用して開発する必要があり、改修のたびに両方を修正しなければなりませんでした。画面と帳票で表示結果が食い違うトラブルにも悩まされましたね」(大野氏)
■Misuzu8 受注入力画面

■Misuzu8 製品計画調整画面

Misuzu8の継承元クラス設計はPowerBuilderの継承機能を最大限に活用している。ウィンドウやユーザーオブジェクト、メニューのプロパティ、配置されたボタンや(データウィンドウを含む)コントロールとそのスクリプト処理まで継承される。先祖で実装した処理は子孫でそのまま利用できるため、新規開発と既存システムのメンテナンス双方で生産性を大幅に高められる。

技術部技術3課エキスパートの山名氏は、「Misuzu8では継承元側で共通処理の大半を実装しています。新たに画面を作る際の開発コストはほとんどかかりません。全体に影響するような不具合が発生しても、継承元を1か所修正すれば全画面に反映できます。個別画面を1つずつ修正する必要がないため、工数削減効果は非常に大きい」と説明する。
開発期間の短縮効果は数字でも明らかだ。「ゼロから作ろうとすれば2年から3年かかる規模のシステムが、現在は1年程度で立ち上がります」と三山氏は語る。
教育生産性の高さも大きなメリットだ。「未経験者でも2か月程度で基本機能を一通り押さえ、案件に投入できるレベルに到達します。Misuzu8はベース骨格がすでに完成しているため、新人でも継承元の枠組みに沿えば短期間で一定品質の画面を開発できます」と大野氏は語る。
サポート体制も継続採用を支える要素になっている。そのメリットについて、大野氏は「日本コンピュータシステムのサポート窓口に分からないことや実現したいことなどを問い合わせると、サンプルプログラム付きで回答が返ってきます。生成AIに依頼するような感覚で利用でき、レスポンスも良好でとても助かっています」と話す。
PowerBuilderで開発したアプリケーションのランタイムファイルは複製・配布が無償でできるため、パッケージソフトウェアの開発にも多く採用されている。Misuzu8のような基幹システムを多数のユーザーに展開する同社のビジネスモデルとも相性が良い。
同社は現在、新たな成長軸としてカスタマイズなしで導入できる完全パッケージ「新Misuzu8」の販売を本格化させている。これまでのカスタマイズ開発で蓄積した知見を集約したコア機能として、生産管理・販売管理・原価管理の3モジュールが2026年3月に出揃った。
最新のシステム基盤に対応するため、PowerBuilderのマイグレーションも順次進んでいる。「PowerBuilder 12.1から2017 R3へ移行した際は、文字列操作関数の仕様変更などがあり移行作業に注意が必要でしたが、提供されていたマイグレーション手順書を参照することで安心して進められました。また2017 R3からそれ以降のバージョンへの移行では大きな非互換もなく、移行作業はとてもスムーズでした」(大野氏)
また、より多くの企業にMisuzuブランドを届けるべく、2026年2月には日本電技の社員4名が日本コンピュータシステムが主催するPowerBuilder基礎研修を受講した。今後、営業や開発支援などグループ全体でのさらなるシナジーが期待される。
「食」という絶対になくならない業界の複雑な課題に向き合い続けるジュピターアドバンスシステムズ。多機能かつ柔軟なMisuzu8とカスタマイズなしで導入できる「新Misuzu8」、それを裏で支えるPowerBuilderの二人三脚は、これからも多くの食品製造業の未来を切り拓いていく。
プロフィール
会社名 ジュピターアドバンスシステムズ株式会社
設立 2020年(令和2年)2月
資本金 8,000万円
従業員数 38名
Webサイト https://www.jpt.co.jp/
取材月 2026年5月

※本ページ上に記載または参照される製品、サービスの名称等は、それぞれ所有者の商標または登録商標です。
※当コンテンツは取材した時点の情報であり、閲覧される時点では変更されている可能性があります。
また、当社は明示的または暗示的を問わず、本コンテンツにいかなる保証も与えるものではありません。