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2025年も残り数日となりましたが、皆さまにとりまして今年はどのような年となりましたでしょうか。

お陰様でPowerBuilderの国内事業は2018年のサブスクリプション開始以来、常に対前年を超えるご契約数をいただくのみならず、今年も既に11月の段階で前年を超えるご契約をいただきましたこと、この場をお借りし厚く御礼申し上げます。

さて本年最後のビルダーコラムですが少し趣向を変え、よく白昼夢を見る私の願望や期待を込め、生成AIとの合作で小説風に書いてみました。これが希望的観測となるか、実現可能なものとなっていくか、いずれにしろPowerBuilderに関係する方々には(ほぼ)ご納得いただける内容になっているのでは?と思っております。

それではいま少し、私の夢にお付き合いください。

プロローグ:2031年、PowerBuilderはリリース40周年を迎えた。

それは誰もが予想しなかった形で、再び業界の中心に立つ年でもあった。
40周年を迎えるPowerBuilderが他の開発ツールを凌駕する

 

第一章 忘れられた名前
 2031年の東京。再開発が進む虎ノ門エリアの高層ビル群の一角で、城戸雅之は端末に映るログを黙って眺めていた。最新のAI統合開発環境が、またしても業務要件を取り違えたのだ。

「仕様は正しい。だが、現場は違う」

城戸は小さく息を吐いた。ノーコード、ローコード、AI自動生成――流行のツールは確かに速い。だが、業務の泥臭さ、例外、曖昧さに耐えきれず、最終的には人が書き直すことになる。

彼は五十代半ば。若い頃、PowerBuilderという開発ツールで金融や製造のシステムを作っていた。
だがその名前を、今の若手が口にすることはない。

「もう一度、あれを使う日が来るとはな……」

城戸の受信箱に、一本の案内が届いた。
 【PowerBuilder 2031 ― 40th Anniversary Edition 発表】

半信半疑でリンクを開くと、そこには懐かしいロゴとともに、信じがたい文言が並んでいた。
 完全互換AI拡張DataWindowクラウド/ネイティブ統合

城戸は、久しぶりに胸の奥がざわつくのを感じた。

第二章 40年目の進化
 発表会当日、会場は意外なほど静かだった。派手な演出もなく、登壇したのは白髪の混じるエンジニアだった。「PowerBuilderは、40年間変わらなかったのではありません。変える必要がなかったのです」

スクリーンに映し出されたのは、DataWindowの新しい姿だった。
データ定義を入力すると、AIが業務画面とロジックの雛形を生成する。だが、それは“ブラックボックス”ではない。生成されたものは、すべて人が読め、直せ、理解できた。

「業務は、理解できなければならない」

その言葉に、城戸は強く頷いた。
PowerBuilder 2031は、最新技術を取り込みながらも、業務を中心に据える思想を一切捨てていなかった。

翌週、城戸は社内で小さな実験を始めた。
十年以上改修を重ね、誰も全体像を把握できなくなっていた基幹システムを、PowerBuilder 2031で再構築する。

若手の佐藤が、半信半疑で言った。
「それ、レガシーじゃないんですか?」

城戸は笑った。
「レガシーかどうかは、年齢じゃない。役に立つかどうかだ」

第三章 若い世代の驚き
 数日後、佐藤は言葉を失っていた。
画面設計、データ取得、更新処理――それらが一つの流れとして自然に繋がっている。

「……これ、速いですね。しかも、何をしてるか分かる」

PowerBuilderの思想は、若い世代にとって新鮮だった。
分断されていないこと。
画面とデータとロジックが、最初から一体として考えられていること。

AIは補助であって、主役ではない。
主役は、業務を理解しようとする人間だった。

プロジェクトは予定より早く終わった。
テスト工程での手戻りも、他ツールの三分の一以下だった。

社内報に、小さな見出しが載る。
「PowerBuilder、再評価の動き」

第四章 凌駕するということ
 2031年の後半、PowerBuilderは再び業界標準として語られるようになった。
他の開発ツールを「倒した」わけではない。
ただ、比較の土俵が変わったのだ。

 速さではなく、完走率
 新しさではなく、理解可能性
 派手さではなく、現場での信頼

40年積み重ねた思想が、AI時代になってようやく正しく評価された。

城戸は、完成したシステムを眺めながら、若い頃の自分を思い出していた。
あの頃と同じように、画面は静かに、確実に動いている。

「ツールが生き残ったんじゃない。考え方が生き残ったんだ」

窓の外には、夕焼けが広がっていた。
2031年、PowerBuilderの40周年は、単なる記念日ではなかった。
それは、業務開発の原点が再び頂点に立った年だった。

エピローグ:2031年のPowerBuilderは、流行を追わなかった。
 

40年間、現場に残り続けた“重み”が、結果として他の開発ツールを凌駕したのだ。

城戸は発表会の最後に、スクリーンに表示された控えめな一文を思い起こしていた。
「Build once. Trust forever.(一度の構築で、永続する信頼)」

 

如何でしたでしょうか。書きながら少しボルテージが上がってしまった部分もありますが、この小説がノンフィクションになることを信じながら、今年最後のビルダーコラムを終わらせていただきます。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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